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2026/05/15

豊田自動織機がAzureインダストリアルAI を活用して塗装工程のプロセスを革新

豊田自動織機 (従業員数:1万人以上)は、品質とサスティナビリティへの要求が高まるなか、自動車生産における塗装品質の向上を目指し、製造現場でのデータに基づく意思決定を加速することに課題を持っていました。

豊田自動織機は、MicrosoftおよびSight Machineと提携し、Azure IoT Hubの統合された工場データを基盤とするAzureベースのセマンティックレイヤーを構築しました。これにより、高速かつほぼリアルタイムでの分析と、塗装品質不具合の要因の可視化を実現し、データに基づく意思決定の迅速化を図っています。

パイロット運用の結果、品質不具合率が25%減少。導入した基盤により、分析サイクルは5日から4時間未満に短縮されました。チームは、問題解決の機会が4倍に増え、サスティナビリティを改善し、迅速でスケーラブルな意思決定を実現しています。

Toyota Industries Corporation

大規模生産の自動車工場では、塗装品質不具合は塗装プロセスの最後で発覚することが多く、すでに付加価値を加えた後での再処理、納期遅延、不確実性が生じる要因となっています。豊田自動織機の長草工場では、塗装品質の管理はバンパー生産ラインの中でも特に慎重な作業を要する工程です。熟練した塗装技術者が減少するなか、技術者の目視による検査からデータ主導の品質管理への転換が急務となっていました。

豊田自動織機は多くの製造業と同様に、塗装工程全体で、機器センサーやプロセスパラメータ、温度や湿度といった環境条件など、数百ものデータをすでに収集していました。これらのデータはMicrosoft Azure IoT Hubで統合・構造化されていましたが、現場チームは依然として、生産プロセス全体をリアルタイムに把握できず、品質不具合の原因となる因子を特定できていませんでした。

渡辺芳久氏, 自動車事業部 デジタル推進室 室長, 豊田自動織機

“工場の生産データを紐付け、生産プロセスの文脈を加えたうえで、現場チームや経営層が迅速に行動と意思決定につなげられる、これまでとは異なるアプローチが必要でした。”

渡辺芳久氏, 自動車事業部 デジタル推進室 室長, 豊田自動織機

そのため、根本原因の特定には、技術者やスペシャリストが手作業で数週間かけて相関関係をデータ分析するなど、多大な時間とリソースが必要となり、品質管理関連コストが増大していました。同時に、規制強化により、豊田自動織機にはサスティナビリティへの貢献が求められていました。

経営層にとって、分析の段階的な改善だけでは、求められる抜本的な変革には至らないことが明らかでした。豊田自動織機自動車事業部 デジタル推進室 室長、渡辺芳久氏は次のように述べています。「工場の生産データを紐付け、生産プロセスの文脈を加えたうえで、現場チームや経営層が迅速に行動と意思決定につなげられる、これまでとは異なるアプローチが必要でした。」

工場全体で機能するデータ基盤の構築

豊田自動織機は、事後分析からほぼリアルタイムの品質管理へ移行するため、MicrosoftおよびパートナーのSight Machineと連携し、Microsoft Azure上に、統合されたAI対応の製造データ基盤を構築しました。このデータ基盤は、ダッシュボード上での検証用途ではなく、生産規模での運用を想定したものです。

最初のステップは、パイロット運用でした。チームは実際の工場データを使用し、3か月間の概念実証(PoC)を実施しました。「このパイロット運用により、これまで連携が困難だったデータも、パイプラインを通じて構造化し、分析できることが確認できました」と、豊田自動織機 自動車事業部 生産技術部で、本プロジェクトリーダーの畠山卓也氏は述べています。

次のステップでは、品質指標の向上や現場作業の変更といった目標とする成果が、この技術によって現実的に実現できるのかを検証しました。畠山氏は次のように述べています。「現場のオペレーターが実際にデータを有効活用して品質や生産性について議論し合う様子を見て、これは単なる技術的なソリューションの導入ではなく、従業員の働き方や意思決定のやり方を変え得るものだと理解できました。」

データ文化のもとでイノベーションを加速

塗装プロセスには多くの要因が絡み合い、結果に影響を与えます。そのため、大規模な分析が重要となります。Sight Machineのカスタマーアウトカム担当ディレクター、Joseph Fryer (ジョセフ・フライヤー) 氏は、AIと機械学習を活用して約400の変数を分析した上で、品質不具合と最も相関の高い要因に絞り込む手法について説明しています。このアプローチは、学習スピードの向上と現場での行動の焦点化を目的としたものです。

畠山卓也氏, 自動車事業部 生産技術部 生技開発G ワーキングリーダー, 豊田自動織機

“現場のオペレーターが実際にデータを有効活用して品質や生産性について議論し合う様子を見て、これは単なる技術的なソリューションの導入ではなく、組織の働き方や意思決定のやり方を変え得るものだと理解できました。”

畠山卓也氏, 自動車事業部 生産技術部 生技開発G ワーキングリーダー, 豊田自動織機

Azureプラットフォームを活用することで、セキュリティとガバナンスが当初から組み込まれています。フライヤー氏は、こう述べています。「Sight Machine のソフトウェアは、豊田自動織機のAzureテナント内で稼働しているため、データが外部に出ることはありません。」

同様に重要なのは、このソリューションがデータスペシャリスト以外でも利用できるよう設計されている点です。プロジェクトでは、製造部門、生産技術、他の関連チームが同じデータを参照し、より迅速に意思決定の足並みを揃えられるよう、共通の可視性に重点を置きました。

渡辺氏はこう語ります。「当社にはもともとデータ文化が根付いていますが、今回の取り組みでそれがさらに強まりました。従業員の関与、活用の浸透、そして高揚感はいずれも非常に高い水準でした。」

目に見える成果、次に向けた基盤

温度の安定化により、豊田自動織機はパイロット運用期間中、ブツ関連の品質不具合を約25%削減しました。また、問題解決の機会が約4倍に増加したと報告されています。日々のスタンドアップミーティングの準備時間は80%短縮され、日常のコミュニケーションも大幅に改善されました。さらに、冬季の塗装期間中のCO2排出量は18%削減できると見込んでいます。

経営層にとって特に重要なのは、改善のサイクルが加速した点です。「これまで数週間かかっていた作業が、今では1日で、時には1時間以内に完了します」とフライヤー氏は述べています。例として、レビューから行動につながるインサイトの導出までを含むエンドツーエンドのボトルネック分析が、約45分で完了した例もあります。

現場では、この変化が信頼と連携として表れました。「現場の従業員にとって最も大きな変化は、データとお互いへの信頼でした」と、豊田自動織機の自動車事業部 製造部 技術員、高光一郎氏は語ります。ダッシュボードの共有とほぼリアルタイムの可視化により、管理者や技術者は異常なパターンを早期に発見し、同じ情報をもとに要因について話し合い、迅速に対策を講じることができるようになりました。

渡辺氏はこう述べています。「マイクロソフトおよびSight Machineとの連携により、社内でデータ基盤の構築に何年も費やすことなく、優れたものづくりに集中できます。」

高光一郎氏, 自動車事業部 製造部 技術員, 豊田自動織機

“現場の従業員にとって最も大きな変化は、データとお互いへの信頼でした。”

高光一郎氏, 自動車事業部 製造部 技術員, 豊田自動織機

スケーラブルな基盤を確立したことで、豊田自動織機の長草工場はこの手法をバンパー塗装からボディー塗装工程へと拡大することができます。また、他の連続生産分野への応用についても検討を進めています。

最後に、畠山氏は次のように締めくくりました。「塗装工程の課題として始まった取り組みが、スケーラブルな指針へと発展しました。まずデータに文脈を与えることで、インダストリアルAIが価値を発揮することを示しています。」

豊田自動織機の詳細は、LinkedIn や⁠ YouTube でご覧いただけます。

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