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Azureに関する技術情報

AzureのCOVID-19対応 90日間 -第1回 AI, Servie bot, HPC での課題解決

2020.07.03 Azure

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Akio Sasaki

Azure R&D at Microsoft, Azure Global

世界中のCOVID-19における規制が緩和されつつありますが、その背景には最前線で働く方々の力があったからと思います。そこでCOVID-19によって引き起こされた緊事態下過去90日間でマイクロソフトのAzureチームがAzureの運用を通して観測、対処から体験した事、学んだ事を数回にわたり共有していきたいと思いました。この文章の内容は弊社Azure CTOのMarkがblogにポストした記事Azure responds to COVID-19をベースに私自身もこの数か月で得た経験を加味しています。

Azure需要の変化

世界中の人々の生活様式がオンラインへ移行し、仕事、教育、そして日常活動がデジタル化していく中、パブリッククラウドサービスのAzureを始めとするマイクロソフトサービスへの需要が急減に増加していくことが観測されました。

このシリーズではCOVID-19による変化した需要に対してマイクロソフトとして取らせて頂いた対応方針についてご紹介します。需要の増加と変化はマイクロソフトインフラ(データをセンターやグローバルネットワーク)に大きな影響を与え、従来とは異なる対応に移行する事を余儀なくされました。アプリケーションという観点ではリモートワークが標準的なワークスタイルに変化した事でM365サービスのTeamsビデオ会議、仮想デスクトップに需要増加がみられました。後程稼働制御を最適化することで優先すべき用途へ資源配分を実施した事に触れます。

またCOVID-19に乗じ新たに表れたセキュリティ課題、脅威について対処にも同時に取り組んできました。

Azure for Good -パブリッククラウドサービスとしての支援策

一連の取り組み方針(AzureチームとしてAzure for Goodとして定義しています)は従来からあるマイクロソフトに共通する理念に基づいて成り立っています。1つ目は利用される方へ危害を与えない事、2つ目は期待アウトプットから考えやり方に拘りを持たない事、3つ目は弊社が参加する事で新しい付加価値を生み出す事、そして4つ目として誰もが参加できるオープンなコラボレーション環境を維持することです。

その典型的な取組が社内で実施したCOVID-19対応のhackthon(ハッカソン)です。1000人以上が180プロジェクトほどを立案し、既に実環境に導入された事例もあります。

一つ目のプロジェクトとしてご紹介するのは台湾で10人のチームが病院に導入までおこなったプロジェクトです。このプロジェクトで実現したのは感染リスクのある人を病院の入り口で自動的に検知するソリューションです。検知にはAIモデルが活用され、顔の検知、マスクを有無、体温の情報を Azure上に送り、病院スタッフの利用するパソコン、スマート機器へリアルタイムに入館者の情報を送信します。導入により入館へのプロセスが自動化され、長蛇の列が解消されると同時に医療従事者の業務負荷の軽減につながりました。技術の知見のある方ならとてもシンプルで目新しい技術ではないと思われると思います。しかしシンプルだからこそ、すぐに導入し、確実に効果が上がるとも言えるのです。病院に殺到する潜在患者を滞留させないで三密を避けることを人員を使わず実現出来、その効果は絶大です。やり方よりも効果に着眼した好例と言えます。またアイディアがクラウドサービスと融合した事でどこでも、どんな規模にも短期に導入できることが出来ます。将来的にはあらゆる施設で利用されるかもしれません。

2つ目はAI Health botです。あらゆるSNS、Webページ上のチャットを通してAIが簡易診断を行います。既存botサービスを活用することで非常に短期にサービスを開始することが可能です。導入された医療現場が重篤患者の治療に集中することが可能になりました。利用者も待ち時間になしどこからでも自己診断が可能なり潜伏リスクについて把握や質疑回答機能を付加することで様々な疑問解消にも効果を発揮しています。botは診断だけでなく、COVID-19から回復した方々への抗体提供者の候補になるかの簡易診断もあり、収束にむけた社会貢献活動のお手伝いに利用されています。COVID19関連するAI botの導入は既に1300件を超えています。以前ビジネスマン向けのAI学習の講師を担当したのですが、非IT人材でもAzureを活用さえすればQAボットを数時間で作れるのは実証済みです。

botサービスは100%Azure(マイクロソフトのパブリッククラウドサービス)上で構築されており、従来から提供されているAzure PaaSで抽象化されたデータベース(CosmosDB)や処理エンジン(AKS)を活用し、開発期間の大幅短縮に貢献しました。また拡張も運用しながら可能です。下記の図に記載されていますが提供するユーザインタフェースとして非マイクロソフトのサービス(Facebook、Slack, Amazon Alexaなど)を利用する事も可能です。

サービス提供以外の支援策としてクラウド資源と運用技術の提供も実施しました。GPU処理力と活用方法をImmunity Bio社様に提供しCOVID-19感染メカニズムの解明研究の支援を行っています。具体的にはCOVID19のSpikeタンパクの受容体結合部位(receptor-binding domain, RBD)がACE2 レセプター(細胞の受容体)に結合し、感染がおこるシミュレーションの演算処理をより高速に実行する支援を行います。この解明がワクチン開発と変異予測の研究につながります。

マイクロソフトから1800 NVIDIA V100 Tensor Core GPUを提供し、24ペタフロップの処理能力を実現したことで198μ秒分のモデルシュミレーションが1日で完了し、既存資源では3年半かかる工程が約2か月に短縮されています。

スタンフォード大学発のFolding@HomeプロジェクトもまたCOVID-19解明研究をおこなっておりAzure VMを通して計算処理能力を提供しています。各家庭にあるコンピュータの余剰処理能力から寄付を受け集約するFolding@Homeプロジェクトは地球上で唯一かもしれないエグゼフロップの処理を保有しています。古い話ですが、2007年当時Playstation3にもFolding@Homeのアプリがあり、私自身このプロジェクト参加したのを思い出しました。現在でもAzure VM経由で誰もが処理能力をFolding@Homeプロジェクトに寄付する事が可能です。ご興味があればGitHubをのぞいてみてください。

その他の支援活動としてTeamsも使ったライブイベントでの卒業式開催の取り組み支援もさせて頂いています。大規模なものへの対応も想定して期間限定で従来参加者の上限を10,000から20,000人への対応を無償拡張しました。また日本でも話題となったマインクラフト上に仮想的に学舎を用意したりすることもできます。TeamsもまたAzureで稼働しているために処理能力、ネットワークの稼働状況に大きく影響を与えます、COVID-19環境下での運用管理については次回のポストで書こうと思います。

次回はパブリッククラウドサービスのAzureを始めとするマイクロソフトサービスへの需要が急増した際に取られた運用方針と高負荷状況への技術的な対応について解説する予定です。

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